男性保育士は女児の着替えをさせてはいけないのか

Profile ゆきせんせい

現役保育士。元は一般事務員だったが、3人の息子が大きくなったのを機に一念発起、資格を取り、保育士として働き始める。毎日、保育園の子どもたちからは元気を一杯もらって、保護者のパパやママたちには子育ての先輩としてエールを送っている。

千葉市長熊谷俊人氏のツイッターでの発言、
「『男性保育士活躍推進プラン』についてツイッターで言及した際に、女児の保護者から男性保育士に着替えさせてほしくないという要望があるけれど、女性なら社会問題になる事案であり、性差による不当な対応をやめていく」というのが、最近話題になっています。

実は私の息子は春から保育士として働いています。息子に聞くと、実際の仕事の中で、特に保護者の目に触れやすい朝と夕方はできるだけおむつ替えなどは女性保育行い、自分は他のことをするよう配慮しているといっていました。
このように、同じ保育士という資格を持つ専門職に従事しているのに、男性だと言うだけで不当な対応を受けているのではないか、女性が性差で不当な対応をされて社会問題になることを考えたら、このように男性が性差で不当な対応をされていることも是正していくべきだ、というような意見です。

男性保育士に女児のおむつ替えや着替えをしてほしくない理由

男性保育士に女児のおむつ替えや着替えをしてほしくないと言う理由は大きく分けて2つあるようです。一つは、いろいろな性的な傾向のある人がいて、幼女に対する性的暴力などの被害があることを考えると、男性保育士が着替えなどをするのは嫌だと言う意見。
もうひとつは、女性として、男性に見られることに対する羞恥心を自分が持つので、わが子がそんな目にあうのは嫌だと言う意見。
でも考えてみてください。また女性保育士が男児の着替えをしたら嫌だと言う意見は聞いたことがありません。なぜ男性保育士だけがそのように言われてしまうのでしょう。
またこのような意見を持つ母親のおうちでは、パパやお爺ちゃんなど男性が着替えさせることはないのでしょうか。むしろ積極的に育児に参加し、着脱やおむつ替えをしてほしいとおもっていると言う母親が多いのではないでしょうか。

実は保育園にはいろいろな要望が寄せられます。オムツについてだけでもいろいろあります。
・肌が弱いから、30分おきにはオムツを確認して汚れていたらすぐ交換してほしい
・最近のおむつは3回分吸収できるんだからそんなにおむつを使わないでほしい
・汚れたおむつは一つずつ袋に入れてから大きな袋に入れてほしい
・小の方でも毎回おしりふきで拭いてほしい
・おしりふきは使いたくないので、おしりを洗ってほしい
などなど、それはもう限りなくあります。
でも、集団生活ですから、1人ずつ別々の対応をするのは無理があります。子育て方法や価値観は人それぞれですから、もし本当に自分の思う育児を100%したいのであれば、保育園に預けるのは無理になります。

保育士は専門職。仕事に男女の区別はない

では、男性保育士におむつ替えをしてほしくないという意見についてはどうでしょうか。
千葉市市長のツイッターでいっていることについて私は基本的に賛成です。
保育士は専門職です。きちんとした知識を得て、資格をもって仕事をしていると自負しています。その仕事において、男性だから女性だからといって区別はないと思います。
そして実際にアンケートを取っているのをみると、男性保育士のおむつ替えに関して「気にしない」という意見が多数だったようです。
ですが、少数とは言え不安だと言う人がいるのは事実です。こういう感情の問題を「正しい」「間違っている」という判断だけで論じることは溝を深めるばかりです。

育児をするのは女性であると言うイメージがあるためか、女性に対しては比較的寛容な人が多いですが、それでも新学期に新しいクラスの担任になると、多かれ少なかれ不安や警戒心を抱いている保護者の方がいることを感じます。自分の子どもを知らない人に預けることは少なからず不安を感じるものです。
しかしパパのようによく知っていて信頼している人に預けるのであれば不安を感じないと言うことは、保育士と保護者の間に信頼関係がきちんとできているかがこの問題を左右するということがわかります。
そう考えれば「よく知っている保育士、信頼できる保育士であれば、男性女性に関わらず安心して預けられる」と言うことではないでしょうか。

信頼関係は短時間でできるものではありません。場合によっては時間をかけて築いていくものです。その間、少しでも不安を感じないようにするために、男性保育士があえて着脱やおむつ替えの仕事ではない、別の仕事を受け持つようにすると言うことはあり得るのではないかと思います。なんせ、保育士の仕事は多岐にわたり、着脱とおむつ替えだけではないのですから。

男性保育士がいるのが当たり前の職場になること

男性と女性ではやはり違う部分もあります。ですから信頼関係の築き方にも差があるのは当然でしょう。
「男性保育士だからおむつ替えをさせてもらえない」のではなく「今はおむつ替えのしない方が信頼関係を早く築けるから」と考えればこの問題の解決はすぐそこにありそうに思えます。
男性保育士はとても頼りになる存在です。女性保育士では出来ないようなダイナミックな遊びをすることもできますし、女性だけだとギスギスしてしまうような時にも、建設的な意見を言ってくれたりしてとても助かる存在です。

もともと保育士という仕事が女性の専門職であったことに加えて、給与や待遇面で惰性が従事するのが難しかった保育士という仕事ですが、最近では、給料や待遇などの改善が進み、男性であっても保育士という仕事に就くことが可能になってきました。実はそうやって男性保育士がいるのが当たり前の職場になることがこの問題の一番の解決策ではないでしょうか。

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