老保統合ケアをもっと広げるには

保育士にも、介護士にも、もちろん子どもにも老人にも利点がありそうな老保統合ケア。
実際に老保統合ケアの仕事は保育士にも人気が高いのですが、実務的にはどういった感じなのでしょうか?

老人と子ども、双方にいい影響が

介護士は介護の資格を持っていますが、子どもを見ることを勉強していませんし資格も持っていません。
保育士も同様に、子どもを見る資格を持っていますが老人を介護する資格を持っていません。
だからといって、一緒の場所で過ごしている時に「私は資格がありませんから何もしません」と言うわけにはいかないでしょう。

このような資格の問題や、保護者の不安などから結果として、隣接しているのに全く接点のないような施設も多くあることは残念です。

すでにいろいろな試みをしている施設があります。
ある施設では、子どもたちが、お年寄りにお茶を出したりお菓子を出したりするお当番を作っていて、子どもたちがそれをとても楽しみにしているそうです。
また、畑仕事や竹細工など、お年寄りが得意なことを一緒にすることで、お年寄りの活躍の場が広がっているようです。

ただ、私の祖父がいた施設ではいつも老人だけがポツンと座っていて、職員たちがいろいろな活動をしようとしているのですが、ほとんどのお年寄りは参加しようという意欲が見られませんでした。このようなところままだまだ多いのではないかと思います。

でもある日、私の息子を連れていくと、祖父はとてもいい表情になり、体を動かそうとする意欲がみられました。そして周囲のお年寄りたちがみないい表情をして、手を伸ばしたり、おいでおいでと手招きしたり、頭をなでてくれるなどの姿が見られたのです。

そして、いろんな人に愛されることは子どもにとってもとてもいい経験になります。
息子ははにかんだ顔をしながらもうれしそうにいろんなお年寄りに抱っこされていました。
このような経験からもっと老保統合ケアが広がってほしいと思っています。

老保統合ケアに対応する資格ができたら・・・

どのようにしたら、もっと老保統合ケアがひろがっていくのでしょうか。
そして職員は働きやすく、老人も子どもも快適に過ごすことができるでしょうか。

実際に『保育』と『介護職』は、同じ【福祉職】と考えると、共通部分がたくさんあります。
食事の介助や、排泄などの介助は、サイズの違いこそあれ似ているところがありますし、日常の流れなどは共通する部分も多そうです。

これをもっと活用して、たとえば一定の研修を受けたり、テストを受けたりした人は資格を格上げするような方法はどうでしょうか。
介護士だけれども、小さな子供を見ることも勉強している『総合介護士』
保育士だけれども、老人をみることも勉強している、『総合保育士』
現状、仕事を始めたばかりの人と、ベテランの人との間で、給与的にも仕事的にもさほど区別がありませんが、このようにステップアップすることは職員としても仕事の幅が広がりますし、プラスアルファの資格を保有している人がいれば、老保統合ケアがより潤滑にできるようになるでしょう。
そして
収入アップしたり、仕事に幅が出来たりするようになれば、今はただきつくて大変なだけと思われている福祉職に新たな魅力が生まれます。

その結果80万人いると言われる潜在保育士が戻ってきてくれるきっかけになれば、人手不足も解消される可能性があるのではないか。
老保統合ケアの未来には、そんな期待もしてしまいます。

Profile ゆきせんせい

現役保育士。元は一般事務員だったが、3人の息子が大きくなったのを機に一念発起、資格を取り、保育士として働き始める。毎日、保育園の子どもたちからは元気を一杯もらって、保護者のパパやママたちには子育ての先輩としてエールを送っている。

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