「感情労働」って知ってますか?保育士のなんともいえない疲労感の正体

Profile ゆきせんせい

現役保育士。元は一般事務員だったが、3人の息子が大きくなったのを機に一念発起、資格を取り、保育士として働き始める。毎日、保育園の子どもたちからは元気を一杯もらって、保護者のパパやママたちには子育ての先輩としてエールを送っている。

「感情労働」と知って保育士の仕事とつき合おう

「感情労働」という言葉を知っていますか?
私は「肉体労働」や「頭脳労働」はよく知っていますが「感情労働」という言葉は聞いたことがありませんでした。
「肉体労働」は体力を使わなければいけない仕事や職業のこと。
「頭脳労働」は専門知識や情報といったスキルを使わなければいけない仕事や職業を指します。
一方「感情労働」は、アメリカの社会学者、アーリー・ホックシールドが提唱した考え方で、「仕事中に自分自身の感情の表し方や感じ方をコントロールする必要がある仕事」です。
感情労働は、飲食業や営業マンなどの接客そのものが実務の多くを占める仕事が代表です。また、医療・福祉・教育のように人に対して援助することを目的にする仕事は感情労働の要素が強くなります。
保育士という仕事はこの「人に対して援助することを目的にする仕事」に該当しているため「感情労働である」といえます。

保育士も人間ですから苦手なタイプもありますし、クレームばかりいう相手には身構えてしまいます。子どもや保護者、同僚や上司であっても苦手な人は少なからず存在します。
私自身でいえば息子が反抗期でどうしようもなく悩んでいる時もありましたし、家庭の問題で休みの日にはあちこち走りまわり体力的・精神的に限界だと感じている時もありました。無理難題をいう保護者に辟易している日もあります。
しかしそんな時でも保育園では笑顔でいることを要求されます。
保護者も子どもも、保育士に対して「安心感を抱けるような態度や表情、行動」を期待しているのです。

この笑顔の奥に押し込んだ「いらいら」や「ムッときた」という感情を我慢すると、とても疲労感を感じます。
この感情的ストレスを受け続けていると、心がすり切れてしまって「もう保育士を続けられない!」という気持ちになったり鬱状態になったりするのです。


保育士という仕事が慢性的にストレスにさらされる「感情労働」という仕事であることを理解しましょう。
この感情をコントロールするのは、心理的なストレスを感じる行為だと言うことが心理学で実証されています。肉体労働に比べて自分でも周囲にも理解されにくいですが日々「感情労働」によって「何とも言えない疲労感」を感じ続けています。
このことが保育士にうつ病などの多い理由の一つになっています。
上手にこの感情ストレスと付き合い、上手に解消することが自分の身を守るために必要です。

自分はいつストレスを感じるのかを知ろう

人によってストレスの感じ方は様々です。ですから自分がいつストレスを感じるのかを知るのが第一歩です。
同じことを言われても、別に気にならない人と、とても気にする人がいます。また同じことを言われても自分のコンディションでとても気になる時と、気にならない時があります。
どんな時に自分がストレスを感じやすいのかを知っておくと対処しやしやすくなりますね。

感情労働で受けたストレスの解消法

実際にストレスを感じた時には、できるだけ早くストレス解消しましょう。
ストレス解消には、どのような方法があるのでしょう。
今日私は、仲のいい同僚と一緒にランチをしてきました。職場の愚痴や困っていることなど、仕事中には出せなかった本当の気持ちをはきだすことですっきりしました。家族のことや、雑談などもたくさんして、リフレッシュ。私は圧倒的に誰かと話すことでストレスを発散するタイプです。
他にも、家でごろごろする、甘いものを食べる、温泉に行くなんて言うのもストレス解消になります。自分なりのストレス解消法を見つけて、上手にストレスと付き合いたいですね。

保育士という仕事が「感情労働」である以上「感情労働で受けるストレス」はつきものだといえます。けれども、度を超えたストレスを感じている場合、その職場を離れることも考えましょう。
自分を守れるのは自分しかいないのです。
そして、一緒に難しいけど楽しい保育という仕事をやっていける、そんな自分が合う職場が必ずあるはずです。

保育士の仕事を探す

保育士の仕事をさがす

保育Fine!で理想の職場を探す